石灰焼成炉でカーボンニュートラルに貢献 「CN石灰焼成プロセス」の研究に着手 CO₂を高濃度で回収

2022年7月19日

社名

 当社は国内で高いシェアをもつ石灰焼成炉の分野でCN(カーボンニュートラル)への貢献を進めるため「CN石灰焼成プロセス」の研究に着手しました。

 主に製鉄副原料となる生石灰を製造する石灰焼成炉は、石灰石を焼成する過程でCO2を分解し排出しますが、これまでその対策は確立されておらず保有事業者にとっては大きな課題でした。
 「CN石灰焼成プロセス」はこのCO2を高濃度で回収します。

 石灰焼成炉内で発生するCO2は、燃焼排ガスや冷却空気中の酸素や窒素により希釈されるため濃度は20%程度ですが、回収後の有効活用には高濃度化が必要です。本プロセスは冷却空気を蓄熱シャフトに送る前に炉外抽出し、燃焼空気の代替として酸素を利用することで排ガス濃度を飛躍的に高め、大掛かりなCO2分離装置を利用せずに濃度を約90%に高めます。

 当社はこの手法の今年度中の確立を目指すとともに、回収後のCO2利用法については、メタネーションや水素活用技術など先導技術に知見をもつ外部機関と共同で検討を進める予定です。

 なお、この度、資源エネルギー庁の補助金(※1)に当社の「並行流蓄熱式石灰焼成炉(PFR炉)」(※2)の派生商品である「小粒対応型PFR炉」が採択され、既設のロータリーキルン炉への省エネ代替技術(BAT)として対象事業となりました。この「小粒対応型PFR炉」にも、本プロセスの設置が可能です。

 当社は「Green&Smart」(Green=脱炭素を推進するための技術革新・Smart=最新技術を駆使した製品のスマート化)を重要課題として掲げ、最新テクノロジーを織り込んだ商品やサービスの開発、提供を推進しています。
 石灰焼成炉に関しては、「Green」分野は本プロセスの確立を進め、「Smart」の分野では既にスマートプロダクツ「Sシリーズ」(※3)の「Spco-CLOUD」を活用し、操業データの解析を行うことで、より効率的な操業支援への取り組みを開始しています。
 今後も「Green&Smart」を一層推し進め、企業理念、ミッションである、人と社会と環境を大切にする技術を提供し続けていきます。

※1:令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」について
 同補助金は、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、資源エネルギー庁が高い省エネポテンシャルが見込まれる技術等を市場から発掘し重点的な支援を行うものです。事業者が対象設備を導入する際、一定の省エネ要件を満たすことで補助を受けることができます。当社の石灰焼成炉は「先進設備・システム」の分野で採択されました。(本補助金の公募は2022年6月30日(木)をもって終了しました)

 ※2:「並行流蓄熱式石灰焼成炉(PFR炉)」について
 「並行流蓄熱式石灰焼成炉(PFR炉)」は、並行流式の燃焼炉と燃焼排ガスや冷却空気の顕熱を回収する蓄熱炉との組合せにより、安定した製品品位と高い熱効率を高次元で両立できることが特徴です。

※3:スマートプロダクツ「Sシリーズ」について
 お客様のニーズに応じて、「ロボットを活用した工場の安全・省力化」、「画像応用・AI/ビッグデータ解析による操業改善や品質向上」、「プロセス分析に基づく操業支援サービス」などの分野で開発を進めている製品群です。
 2022年7月現在、「Spco-CLOUD」、「Spco-ROBO KNIGHT」、「Spco-MOLD VIEW」、「Spco-COUNT」など19製品を市場投入しており、プラント毎に設置していた操作室の中央集約化、遠隔操業など更なるスマート化、その先のワンマンオペレーションを目指しています。

 

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その石灰焼成炉の設計、製作、据付を50年近く行ってきた豊富な経験と技術力、国内最多の納入実績を誇るこの製品は、お客様からの絶大な信頼を得ています。

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