ROOKIE

なりふり構っている
場合じゃなかった。

私が初めて担当することになったのは急成長を遂げるベトナムのこれからを支える、大型高炉一貫ラインの建設プロジェクトでした。飛行機の窓から見てもわかるほど広大な建設予定地につくられる巨大な設備。完工すれば、年産700万トンもの鉄が生み出されることになります。そこで私が担当することになったのが、転炉の付帯設備の設計と工場全体の配管計画でした。

入社二年目、エンジニアとしての知識も浅く、経験もほとんどないに等しい。そもそも、製鉄工場にどんな機器が備わっているのかも100%理解できてはいませんでした。しかも、協業するスタッフの国籍はバラバラ。言葉や文化の違う人とコミュニケーションを取っていく難しさもありました。

それでも前に進むしかありません。あちらこちらに、なりふり構わず疑問や質問をぶつけていきました。言葉が伝わらなければ、紙やペンを駆使して必死に食らいつきました。知識の壁、言葉の壁、文化の壁、その一つひとつに少しずつにじり寄り、乗り越えていったのです。

画像:なりふり構っている場合じゃなかった。

TURNING POINT

「やればできるやないか!」

「一体、どういうことなんだ」。現場で複数の関係者の矢継ぎ早の質問に、私は言葉を失いました。私が設計から担当していた設備。その立ち上げで、思わぬトラブルが発生し、稼働が止まってしまったのです。思わぬアクシデントに工場長やマネージャー、担当課長など多くの現場関係者が集まり、何が起きているのか説明を求められました。設計の担当者は自分。当然、矢面に立ち、トラブルと向き合うのも自分です。しかし、頭は真っ白。なぜ。どうして。「?」が頭の中でぐるぐると回っていました。

現場のメンバーだけで話していても埒が明かず、上司や先輩にも来てもらうように頼み込み、プロジェクトメンバー全員で現場を検証して、議論に議論を重ねました。改善策を練り直し、息を呑んで見守った再稼働。無事、トラブルが解決されたその時には、現場で大きな拍手が響きました。自分の倍以上の歳のお客様に「やればできるやないか!」と笑いながらバーンと背中を叩かれた時には、その言葉が嬉しくて、ほっとして、思わず泣きそうになってしまいました。

工場の建設には本当に多くの人が関わっており、たくさんの仲間の支えがなくてはとても完工することはできません。チーム一丸となり、助け合いながら仕事を進めることではじめてプラントは完成するのです。

画像:「やればできるやないか!」

VISION

そのプラントの
向こう側にあるものを。

私がエンジニアとして感じていたやりがいは、自分の手でつくりあげた設計図が設備としてカタチとなり、実際に稼働を始める瞬間でした。しかし、いくつものプラントの設計に携わり、現地でその立ち上げを指揮する中で、プラントのまた別の側面にも気づくようになっていきました。

ひとつの製鉄所を建設するには、まずは発電所や浄水場といったインフラ整備が必要です。建設に携わる方々の生活があるからです。建設が進むにつれて携わる人数は増えていき、周辺には住む場所が生まれ、食事をする場所が生まれ、やがては街になっていく。製鉄所が稼働すれば多くの働き手も必要となる。私たちが設計し、つくりだしているプラントのその向こう側には、その国で働く多くのひとの暮らしがあるのです。だからこそ、私たちの仕事は重く、どんな時も逃げずにやりきらなくてはならないと思うのです。

そのためには、多くの人を巻き込むリーダーシップやコミュニケーション能力……。私にはまだまだ身に付けなくてはならないことが多くあります。技術力だけでない、人を惹きつける力を持った優れたエンジニアとなるために、これからも努力していきたいと思います。

WORKS

画像:ベトナム初の大型高炉一貫製鉄所の建設(ベトナム)
画像:製鉄所

ベトナム初の大型高炉一貫製鉄所の建設(ベトナム)

最新鋭の設備を有する転炉製鋼プラントの転炉付帯設備の設計などを担当しました。

PERSON