製鉄プラント機器の電動化推進 脱油圧で保全容易化、デジタル対応も加速

2021年4月21日

条鋼圧延プラントのE-PDDマップ(HP)

 当社は「Green&Smart」をキーワードに「脱炭素を実現するための技術革新(Green Innovation)」と「DX、AI、ロボティクスの活用(Smart Technology)」を進めておりますが、製鉄所プラント機器のアクチュエータやパワートレインを油圧駆動から電動化する「Electric Power Driven Design(電動化デザイン)」に着手し、新規プラントに限らず、既設機器のアップグレードをもビジネス領域とする「E-Power Drive」商品の開発をスタートしました。

 電動化の背景には、製鉄所内の油圧トラブルを減らし、故障が発生した場合の復旧を容易にする狙いがあります。油圧機器は作動油の日常管理や故障時の原因究明に熟練した保全技能者を必要としますが、業界全体としてその数が減少し、若年化も進んでいます。

 電動化においては、サーボモータドライブだけでなく、汎用モータとインバータ、センサーを組み合わせたライト・サーボ、一部は単独のアクチュエータやパワートレインを動かすコンパクト油圧ユニットも活用し、お客様のニーズと現場の実態に合ったご提案を致します。また、副次的には、作動油漏れリスクの低減や常時運転している油圧ポンプの省電力化も期待できます。

 また、油圧機器は広範囲に使われていますが、予兆診断を目的としたモニタリングが難しい装置です。電動化を進め、様々なデジタル信号を活用した設備モニタリングや、当社のスマートプロダクツと組みあわせることで、サイバーサイエンスネットワークを構築し、AIによる自動化や異常予知も可能となります。将来的には、プラントの無人化、最適生産、製品の品質向上を狙いとしたスマートファクトリーの実現を目指します。

 製品化にあたり、まずはお客様からのニーズも高い「条鋼圧延ライン」「冷延コイルリール周辺機器」「薄板レベラ」「高炉ガス清浄設備(RSW)」を先行して進め、順次その領域を拡充する予定です。

冷延コイルリール拡縮のE-PDD化イメージ

関連製品

厚板レベラ

スチールプランテックが1998年に開発したSuPerLeveler™は、厚板工場で生産される鋼板(6-50mm厚)の平坦度を向上させる設備です。矯正中にレベラ(水平精度を高める下地調整材)に発生するたわみを、剛性無限大制御によって完全に補正します。これによって、従来のレベラでは安定しなかった、TMCP鋼板、焼き入れ鋼板といった矯正反力を必要とする鋼板の矯正が可能になります。

電磁鋼板用焼鈍・
コーティングライン(ACL)

電気機器の効率化や小型化、高精度化、高信頼化に対応する電磁鋼板を製造するのが、電磁鋼板用焼鈍・コーティングライン(ACL)です。スチールプランテックの製品は、低い張力で薄物材を高温焼鈍(内部のひずみを取り除き、優れた電磁特性を与えるための熱処理)するために横型炉方式を採用しています。

連続塗装ライン(CCL)

耐腐食性を高めるCGL(連続溶融亜鉛メッキライン)や、強さや延びなどの性質を向上させるCAL(連続焼鈍ライン)で生産された鋼板に、あらかじめ塗料を塗布、焼き付け、塗膜を形成させるプリコートラインです。色彩、光沢などの美装性と耐候性、防食性などの保護性を付加します。

棒鋼・線材圧延設備

スチールプランテックでは、様々なお客様のニーズにお応えできる棒鋼、線材用圧延設備を提供することができます。
例えば、生産性を向上できるスリット圧延設備、高速圧延機(40m/s)、加熱炉を経由せず大幅な省エネを実現する連続鋳造機からの直送圧延設備、棒鋼の強度を高めるWater Quenching System、歩留まりを大幅に改善する連続圧延設備EBROS™等のお客様のニーズに合わせたソリューションを提供いたします。
また、電気炉、連続鋳造設備、圧延設備に一貫ラインを提供することで統合されたソリューションの提案・提供も可能です。

高炉ガス清浄設備(RSW)

湿式ガス洗浄設備(RSW)は、高炉や転炉の排ガス処理をはじめとする各種の集塵装置に広く使用されています。

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