製鋼用アーク炉におけるAI電極制御システムの実証試験に着手 フリッカ・電力・電極原単位低減、通電時間短縮に寄与

2022年12月14日

AI電極制御システムの構成(HP)

 当社はアーク炉用AI電極制御システムの実証試験に着手しました。

 製鉄業におけるカーボンニュートラル達成への手段の一つとして製鋼用アーク炉の大型化が注目されていますが、アーク炉が引き起こす大きな電圧変動はフリッカとして電源系統に影響を与えます。そのため、電圧変動原因となるアーク炉の負荷変動を抑制することがカーボンニュートラルを実現する上で重要な課題となります。

 本電極制御システムは、従来型のトランスを用いたアーク炉向けに、フリッカの低減、通電時間短縮や電力・電極原単位の低減に寄与する技術として開発に取り組んできました。電極制御システムはアーク炉への電力投入を制御するキーテクノロジーですが、複数の制御パラメータが多数の操業データと関連しあう複雑系です。その制御に強化学習アルゴリズムを付加したAI技術を適用することで、電気炉内のスクラップ状況に合わせた最適な昇降制御定数の組み合わせを、ダイナミックに変化させることが可能になります。

 また、先日発表したパワーエレクトロニクスを用いた「新電源システム」(※)と組み合わせることで、知能制御機能が加わり、更なる効果を期待できます。
 現在、今後の大型アーク炉の主流となる直流アーク炉での実証実験に着手しており、今年度中に開発を完了する予定です。引き続き交流アーク炉についても実証段階へ進めます。

 当社は「Green & Smart」(Green=脱炭素を推進するための技術革新・Smart=最新技術を駆使した製品のスマート化)を掲げ、最新テクノロジーを織り込んだ商品やサービスの開発、提供をすることで、人と社会と環境を大切にする技術を提供し続けます。

(※)詳しくは2022年12月5日発表のリリースをご参照ください。https://steelplantech.com/ja/news/6406/

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